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低振動を実現して、世界初、小型ロボット搭載に成功した「エアハンマロボットシステム」株式会社豊岡販売

2018.08.28

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エアハンマロボットシステム

学ぶべきポイント

  • 問題意識を持って、解決の糸口を探し続ける
  • コストカットに貢献するだけではなく、騒音や作業者の健康にも配慮した製品設計

従来、振動工具であるエアハンマーを、可搬重量7~8㎏の小型ロボットに搭載するのは、不可能とされていた。小型ロボットが、エアハンマーの振動に耐えられないのが原因だ。 そのため以前は、エアハンマー本体は天井から固定し、対象物を可搬重量70~80㎏のロボットに保持させる方式をとっていた。しかし、この方式では防音対策が取りづらい。装置全体が大きいため、防音壁などで囲むにもコストがかさみ、現実的ではなかった。装置から発せられる100db超の騒音が、作業者の作業効率にも支障をきたし、健康面に深刻なダメージを与えることもある。また、周辺住民からの苦情なども多く、大きな問題となっていた。

そうした課題を常に意識していた株式会社豊岡販売は、2010年の展示会で、画期的な製品と出会う。アピュアン株式会社の開発したエア作動式のコンクリートブレーカーだ。高い打撃能力と、低振動・低騒音を兼ね備える性能は高く評価できるものだった。

そこで豊岡販売は、小型ロボットへの搭載を提案。当時、ロボットに搭載する構想を持っていなかったアピュアンは、常識とはかけ離れた豊岡販売の提案だったが、開発に取り組んだ。更なる低振動・小型化を目指し、改良を続けたのだ。

次は、小型ロボットメーカーの協力が必要だ。豊岡販売の要請に快諾するメーカーはなかなか現れず、何件も断られた末に、株式会社不二越の賛同を得られた。そうして2013年からは、3社共同でのテストを重ね、2014年6月、ついに、展示試作機が完成した。エアハンマーを小型ロボットに搭載したシステムは世界初であり、アピュアン製のエアハンマーは日米で特許を取得した。

エアハンマロボットシステムの特長は、大きく3つある。

①圧倒的な低振動
空気圧0.6Mpaで3軸振動合成値を測定した場合、他社のエアハンマーが12.1m/sec2に対して、本体内部にも衝撃吸収装置を付けた同社のシステムは0.9 m/sec2とケタ違いに低い。空気圧を0.5 Mpa、0.4 Mpaと変化させても、3軸振動合成値はいずれも他社製品の10%以下に軽減されている。エアハンマーの上部に、水を入れたコップを置いても、正常作動中は水がまったく揺れず、驚きの低振動を実感できる。

②小型化により騒音問題を軽減
当初の狙い通り、7~8㎏可搬の小型ロボットへの搭載を実現。省スペースで済むため、防音ボックス内に装置全体を収納することも可能。簡易的な防音ボックスでも閉めて稼働させると、外部への音漏れは86dbに抑えられた。また、静かな環境で作業することで、作業効率の向上や異常音の素早い検知も可能となる。

③ロボット化により健康被害から解放
振動工具を扱う作業者は、健康被害を受けやすい。特に、振動による白狼病・粉塵による塵肺・騒音による難聴という3大労災の危険にさらされていた。しかし、ロボット化の実現で、人が作業する必要がなくなり、作業者は健康被害から解放される。
また、作業者の熟練度に左右されず、均質な製品づくりが可能。さらには、人手不足の昨今、人件費などのコストカットにも大きく貢献する。

防音ボックス(100×60×80㎤)に収納される展示試作機

現在は、鋳造業での堰折り(せきおり)業務が中心だが、今後は、ピン打ちやカシメ、鋳砂除去など様々な用途での実用化に向け、テストを重ねていきたいという。また、鋳造業に限らず、他業界での導入も視野に入れ、柔軟に対応しており、実際、土木関係業者から問い合わせが寄せられている。さらに、JICAと連携しベトナムで、産業ロボットの利用促進を支援する活動にも注力している。

同社では、「キツイ・汚い・危険」という3K作業はロボットを利用し、最後の仕上げなど人でなければできない作業に、貴重な人材を専念させる「ロボットと人間のワークシェアリング」を提唱。「もっと多くの経営者が、作業者の苦労や健康被害に敏感になってほしい」と訴え続けている。

 

企業情報

株式会社豊岡販売

設計・製作・据付・調整まで一貫体制をとっており、ユーザーからの依頼にもスピーディな対応をモットーにしています。予算に合わせて最適な提案を心掛けており、導入したメーカー様からは多大な信頼を得ています。

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