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10μmを塗るだけで大幅な省エネ効果を発揮!低放射遮熱塗料開発の着眼点中外商工株式会社

2018.08.09

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表面に10μm程度塗布するだけで省エネ効果を発揮する「サーモレジンSV」

summary

  • 業界の“当たり前”を疑ってみる
  • 技術の優位性を市場に丁寧に伝えていく

塗料では初めてとなる省エネ大賞を受賞

全国の工業炉の数は約4万基、日本のエネルギー消費量の約18%を占めると言われている(省エネセンターデータより)。
平成26年に塗料としては初めてとなる省エネ大賞(中小企業庁長官賞)を受賞した中外商工株式会社の低放射遮熱塗料「サーモレジンSV600/SV300」は、工業炉の外壁にわずか10μm(マイクロメーター 1μm=1000分の1ミリ)塗るだけで大幅な省エネ効果を発揮できるという。
従来の断熱塗料に比べて放射率が低く、外部への無駄な放射熱量を低減できるため、燃料の使用量を減らせる。また、熱中症対策などの作業環境の改善にも効果絶大だ。

他社が見落としていた輻射熱に着目

※以下、放射と輻射は同じ意味で用います。

「この技術開発に取り組み始めたのは15~16年まえのことです。社内で環境対応がスローガンになったことをきっかけに、研究をスタートさせました。性能は同じでより安全なもの、省エネや環境改善にも貢献対応できるものを提供していきたいと考えていました。」
こう話すのは、技術開発を中心となって進めてきた取締役セラミック・センサー事業部長の若野 伸彦氏。

熱は高温側から低温側に移動するが、熱の伝播には3つの形態がある。物質中を熱が伝わる伝導、流体が熱を運ぶ対流、そして、電磁波による輻射だ。同社が開発にあたって着目したのがこの輻射だ。太陽の光やストーブ、焚火にあたると暖かく感じるのは輻射による熱が私達の身体に伝わるからだ。温度の高い炉外壁ではこの輻射熱が多量に外周に逃げることが予想される。

若野氏は語る。
「工業炉などからの放熱量を減らすために、従来は断熱材で覆ったり、断熱材の表面に更に断熱塗料を厚く塗布することが行われていました。我々は、炉外壁の表面温度がまだまだ高く、表面からの輻射熱量が大きいことに着目し、それを抑えるために低放射(輻射)遮熱塗料の開発に着手したわけです。」
「サーモレジンSV600/SV300」は、工業炉の外壁表面に薄く塗布するだけで、炉からの輻射熱量を最大80%減らすことができる。

 

費用対効果に優れ、塗装工期も短い!

サーモレジンは輻射熱量を減らすことを目的としたものであり、塗料の厚みは10μmあれば十分とのこと。そのため、1平米あたりの必要量は100gを切り、コストを安く抑えられる。同社技術を採用した大手製鉄メーカーからは、イニシャルコストの償却は1年以内、年間4~5%程度の燃料費削減につながったとの好評価を得ている。

工期が短いことも大きな魅力だ。サーモレジンの場合、1回の塗布で済むため、作業量は1日程度。また、ベテラン作業者も必要なく、工業炉を完全停止しなくとも作業を実施できるという。重ね塗りの必要な従来の断熱塗料が、年1回の工業炉の定期修理期間にしか塗り替えできないのに比べると、その作業性は格段に上回る。

技術を丁寧に伝えることでビジネスチャンスは広がる

省エネ・環境対策TEAMの一本杉勇治氏は、輻射熱の比較を体感できるデモ機の前で力説する。
「私たちがサーモレジンの開発に成功した当時、企業の間では輻射熱に関してほとんど認識がありませんでした。当社の技術ポイントをご理解いただけるよう、デモ機等を活用しながら技術の優位性を何度も説明させていただきました。」
今では、大手製造業をはじめ、多くの工場で取り入れられているほか、電力会社が代理店となり同社塗料を営業する動きも出初めているという。

低放射遮熱塗料の工業炉への展開は始まったばかり。国内の工業炉全体に使用された場合、その省エネ効果は莫大なものとなる。今後の市場動向に注目したい。

取材日:2018年6月12日

 

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