BreakThrough 企業インタビュー

IoTのチカラで農業に休日をゼロアグリ

2017.02.15

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  • ルートレック・ネットワークスが次世代養液土耕システム「ゼロアグリ」で農業過疎化の課題克服に挑む

日本の農業はいま、過疎化という課題を抱える。人手不足や後継者不足で休日も思うようにとれず、一方で収益向上めざして作業の省力化や効率化などで苦境を乗り切らなければならない。そのような中、次世代の養液土耕システムと呼ばれる点滴灌水によるソリューションが注目、こうした課題を克服すべく着々と成果を上げている。

お嫁さんがきてくれない日本の農業をどうする

農業の現場できちっと休日をとる、このような当たり前のことが極めて重要な課題となっている。ルートレック・ネットワークス 代表取締役社長 佐々木伸一氏は「日本の農業はいま、人手不足や後継者不足で休日も十分とれません。一方、若い人たちにとってもこのことは深刻な課題で、これでは農家に嫁ぎたい女性の気持ちも削がれることになりかねない。それでも農家では只管、作業の省力化や効率化を図って収益向上をめざさなければならないのです」と、厳しい現実を語る。

実際、日本の就農人口は10年で100万人減少し、耕作放棄地も42万4000ヘクタールで、農家の平均年齢が67歳という。ここに活路を切り拓くべく、佐々木氏は次世代の養液土耕システムと目されるソリューション「ゼロアグリ(ZeRo.agri)」を投入した。 

節水栽培こそ問題解決のキーワードだ

世界の人口は70億人を超え、2050年には90億人を突破するという。そうなると「水の枯渇や食料不足」が俄然クロ-ズアップされる。「いま生活水の70%が灌漑用として使われています。また農地のうち灌漑農地は18%であり、そこから世界の食糧のうち40%が生産される現実をみると、食料不足の問題は従来農法では多量の水を要し明らかに限界があります。そこで、より節水栽培を増やせば問題解決に近づくはずです」と佐々木氏は指摘する。ゼロアグリは、栽培技術の中でもっとも経験と勘が不可欠の「かん水・施肥」を、IoT及び明治大学との共同開発による栽培アルゴリズムにより、自動化したものだ。

ゼロアグリのシステム構成。二つのセンサー情報をもとに完全自動化肥培管理を実現

大手メーカーによる最新鋭で高多機能型ICT農業とは違い必要機能以外はそぎ落として、心臓部のセンサーは、日射量用及び土壌水分量・EC値など土壌用の2種類に絞り込んだ。これらセンサー情報をクラウドにあげ、独自の栽培アルゴリズムにより土壌に関する情報を監視・分析して、点滴チューブにより水に肥料を溶かした作物の成長に最適な培養液供給量を全自動供給可能としたのである。またタブレットでも土壌状態の確認や培養液供給量の設定変更が指先で簡単にできるし、最近、窒素濃度指定の機能も追加、土壌環境の制御を一層可能とした。このゼロアグリ1台あれば最大50a、6区画まで対応してくれる。

培養液供給設定のタブレット画面例

父ちゃんの背中をみて育つこれからの新規就農者に光明

こうしてゼロアグリは、熟練農家でも30%の収量増加と品質を維持可能なほか、「かん水・施肥」の自動化で作業時間を90%も削減させ栽培規模を拡大、熟練農家の「かん水・施肥」をクラウドに蓄積し新規就農者支援のために利活用可能、点滴灌漑をIoTと栽培アルゴリズムで自動化し慣行栽培との比較で50%の節水と減肥を実現、など数々の成果を導きだすことに成功したのである。

ターゲット市場は、ICT化が進んでいない施設栽培面積98%のパイプハウスにおけるトマトやキュウリ、イチゴなどの果菜作りだが、これまでに50件以上の導入実績がある。その一例、熊本県八代市の大玉トマトの農家では、40aの施設面積を擁し親子2名とパート1名で栽培を営む。ゼロアグリ導入の結果、かん水堆肥作業を90%減らしたほか、45%の減肥、農薬散布を1/5に減少、収量は18t/10aを達成した。

佐々木氏は、「私たちの願いはただ一つ。子は親の背をみて育つと昔からいいますが、父親の農業を誇りをもって子が継げる、こんなサイクルをIoTで支援し所得向上とともに農業を発展させ、かつての輝かしい一次産業の姿をとりもどすこと」と情熱的な意欲を示す。同社は農家への献身的な支援という企業努力が評価されて、実に250社中2位という高成績で、経済産業省 IoT推進ラボ準グランプリを受賞した。今後の目標は、農業所得の向上はじめ新規就農者支援、栽培技術の伝承だ。また東日本大震災の被災地で、帰村し再び故郷で農作業に取り組みたい人たちへの全面的な支援を惜しまない。そのためには、同社1社のみならず地方自治体や国の更なるバックアップを期待したい。

タブレットにより指先一つで容易に培養液供給設定の可能性をアピールする佐々木伸一氏

企業情報

ゼロアグリ

次世代養液土耕システム「ゼロアグリ」の公式サイト。ハウス内の各種センサー情報から、作物による水と肥料の消費パターンを分析し、作物の生長に合わせてかん水施肥を全自動実行。「かん水施肥の省力化」を実現し、収穫量の増加や品質の安定化も見込めます。

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