BreakThrough 企業インタビュー

世界屈指の計測計量技術を誇る企業が、“やわらかさ”の測定を実現新光電子株式会社

<連載第1回(全2回)>

2020.09.03

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「新光電子株式会社」は、音叉で重量を計測する「音叉式力センサー」を約40年前に開発し、以来、さまざまな業界における高精度な計測計量ニーズを満たしています。2019年2月にはこのセンサーを利用し、“やわらかさ”を数値化する「音叉式やわらかさセンサー『SOFTGRAM』」を開発。同社はなぜ常に時代を先回りし、社会に求められる製品を開発できるのでしょうか。森井俊秀代表取締役社長に話を伺い、2回の連載の中でその真髄に迫ります。


精度と耐久性に優れた「音叉式力センサー」

楽器のチューニングなどに使われる音叉は、加重によって周波数が変化するという特性をもちます。この周波数の変化を重量値に変換することで、高精度な計測計量を可能にしているのが「音叉式力センサー」です。

「1983年に開発したこのセンサーを搭載したはかりは、現在、国内の調剤薬局におけるシェア7割を誇ります。高精度な計測計量に加え、耐久性が優れている点も強みで、2000年には国立天文台のすばる望遠鏡の微妙なたわみを調整するアクチュエータにも採用されました。温度や環境の変化が激しい地上4000mの山頂でも高精度を保ちます」

左:「音叉式力センサー」の実物、右:動作の概念図

“やわらかさ”を数値化することで、職人技の継承にも期待

同社は、創業した1963年に物質のひずみを計測できる測定器を日本で初めて開発すると、1972年には今でこそ産業界では一般的になっている重量から個数を割り出す個数はかりを世界で初めて開発。これまでに日本初・世界初のユニークな製品を多数送り出してきました。そんな同社が新たに開発したのが、「音叉式やわらかさセンサー『SOFTGRAM』」です。

「これまで曖昧だった“やわらかさ”という感覚を数値化できます。例えばシリコン製の製品などは、いくら事前に打ち合わせをしても、サンプルを持っていくとやわらかさがイメージと違った、といったことが少なくありません。こうした感覚の部分が、『SOFTGRAM』を使えば数値として正確に捉えられるわけです」

後継者不足が社会問題化している日本においては、職人の感覚を数値として記録しておけることも同製品の大きなメリットの一つだろう。

「職人の言う“耳たぶくらいのやわらかさ”を数値化することも可能です。ものづくり大国の日本において、職人のノウハウのデジタル化は非常に重要なポイント。『SOFTGRAM』は、そういった点でも貢献できると思います」

ポータブル性と精度の両立に成功

誰もが手軽に測りたい場所で高精度にやわらかさを計測できる

使い方はいたってシンプルで、本体を片手で持ち、「音叉式力センサー」をはじめ複数のセンサーを搭載した先端部分を計測したい対象物に軽く垂直に押し当てるだけ。すると本体のディスプレイにやわらかさを表す数値が示されます。

「こだわったのは、誰もが手軽に測りたい場所で測れるというポータブル性。ただ手動だと、押し込むスピードや力、角度の違いなどによって、どうしても測定精度にばらつきが出てしまう。そこで正しく対象物に接触できているかを検知するセンサーも搭載し、目標にしていた手動での誤差10%以内を達成しました」

同製品は、すでに医療業界などを中心に高い注目を集めており、今後の応用が期待されています。第2回では、同製品の開発経緯と同社における技術開発のポイントなどについて掘り下げていきます。


連載「リスクを取りづらい今こそ、新たなパートナーシップを」

第一回 世界屈指の計測計量技術を誇る企業が、“やわらかさ”の測定を実現
第二回 リスクを取りづらい今こそ、新たなパートナーシップを


企業情報

新光電子株式会社

代表取締役社長・森井俊秀(もりい・としひで)

1963年、精密変位測定器である差動トランスのメーカーとして創業。世界で唯一の技術「音叉式力センサー」を搭載した精密な個数はかりや電子天びんなどで高い評価を獲得。その後、はかりメーカー「株式会社イシダ」のグループ企業となる。2019年2月、世界初の音叉式やわらかさセンサー「SOFTGRAM」を発売。

取材日:2020年7月28日

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