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「エンジンはまだ完成された分野ではない」
低燃費、低振動、高出力の新型エンジンを開発有限会社浪越エレクトロニクス

2018.02.15

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まったく新しい構造技術(特許取得)で大幅な効率化を実現した高効率エンジン

学ぶべきポイント

  • 「世の中にまだ存在しない製品」を社会に送り出そうとする志
  • You Tubeを活用し海外も視野に入れた情報発信

浪越エレクトロニクスの創業は、1990年。以来、「まだ世の中にない製品を社会に送り出す」という志の下、電子関係を中心にさまざまな製品開発を手がけてきた。そんな同社がエンジンの開発を始めたきっかけは、1980年代に遡る。家業が農家で幼少時から農機のエンジン修理に親しんでいた浪越社長は、オイルショックの騒動を目の当たりにしてまったく新しい構造の高効率エンジンの構想に着手。会社創業とほぼ同時期にひな型を製作し、2000年ごろには50ccエンジンを試作、そして2012年に日米独中で特許を取得した。現在は1500ccクラスの試作を終え、さらなる改良に努めている。

少ない燃料で大きな動力を生むための方法は、「燃料をエネルギーに変換する熱効率を上げる」、または「発生したエネルギーの機関損失を下げる」のいずれか。しかし熱効率を大きく向上させることは現実には難しい。そこで同社ではエンジンの3つの損失、すなわち「摩擦による損失」「振動による損失」「往復運動による損失」の低減をテーマに開発した。摩擦による損失の低減については、現行の4気筒エンジンでは構造上13カ所ある滑り軸受けを5カ所に減らすことで摩擦面接を大幅に低減。振動による損失の低減はバランサーの動作で、往復運動による損失の低減は4つのピストンを一体化することによって実現している。

1500ccの試作機による試運転において、1000rpmのアイドリング時で現行エンジンと比較して約30%の燃費低減、ロータリーエンジンと同レベルの低振動を確認した。また振動損失と摩擦損失が低減されるため、出力アップも見込まれる。同社ではこの高効率エンジンについて、自動車エンジンとしての使用はもちろんのこと、電気自動車のエンジン発電機、無人機ドローンのエンジン発電機、さらには天然ガスやバイオガスによる発電、コージェネレーションにおける内燃機関としての使用など幅広い用途を想定している。

試運転の様子はYou Tubeにも動画をアップロードしたところ、1日1万回ものビューを記録するなど大きな注目を集めた。欧州の有名スポーツカーメーカー、中国の政府系投資会社などからのアプローチもあったという。また2017年の大阪モーターショーにも出品し、こちらも多くの自動車ユーザーから熱い声援を受けている。自動車エンジンは非常に新規参入の難しい分野。しかし同社はさらなる改良、そして製品への採用に向け意欲的に開発を進めていきたいと話す。開発スピードを上げていくため、パートナーを迎えての共同開発も模索していく。

  • 高効率エンジンはコスト面でも現行エンジンと同等か安価、サイズ的には横長にはなるが全体的にはコンパクト。「 高効率」以外にもさまざまな優位性を発揮できる可能性を秘めるエンジンだ。EVシフトなどにより自動車エンジンとしての将来的なニーズについては不透明だが、「例えばEVの補助電力や暖房用途などレンジエクステンダーとしても最適」と同社は話す。となれば自動車業界のパラダイムシフトも、同社にとっては大きなチャンスに転じるかもしれない。今後の開発の熟成、そして用途開拓に期待が膨らむ。

企業情報

有限会社浪越エレクトロニクス

サイン波インバーター、蛍光灯の電子点灯管、小型電力計などを社会に先駆けて開発販売しました。
現在の製品はモーターコントローラー、太陽光MPPT、風力MPPT
太陽電池の計測器、バッテリー残量計、交流電力計などがあります。
開発中として高効率エンジンおよびそれに関する開発、電動バイク用のコントローラーやドローンの姿勢制御の開発を行っています。

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