BreakThrough 企業インタビュー

身近なエッジデバイスで高度なAI技術の利用を可能にする株式会社tiwaki

<連載第1回(全2回)>

2020.12.23

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「株式会社tiwaki」は、スマートフォンやタブレット端末などのいわゆる「エッジデバイス」で使えるAI技術の開発を進めている企業です。2016年創業とまだ若い企業でありながら、独自の深層学習技術「Furinkazan」をベースとしたさまざまな物体検出技術、あらゆる物体をタッチパネルに変える「Yoichi」ほか、多くの斬新かつユニークな技術を生み出し、国内外から注目を集めています。同社の技術の何が優れていて、どんな展開が期待できるのか。同社の阮翔代表取締役社長に伺い、2回の連載で紹介します。


エッジデバイスで活用できる深層学習技術を開発

昨今、AIはあらゆる業界で技術革新のスピードを加速させています。ただ、機械学習や画像認識の領域でAI技術を活用しようとすると、ほとんどの場合で、膨大な情報処理が行えるハイスペックマシンや高度なエンジニアなどが必要になり、なかなかAI技術の一般化は進みません。この課題を解決したのが、「株式会社tiwaki」が独自に開発した深層学習の基礎技術「Furinkazan」です。

「世の中で主流の深層学習技術よりはるかに高速、小型、高性能という特徴をもっており、エッジデバイスでの活用が可能です」

この基礎技術からさらに4つの応用技術が生み出されており、例えば物体検出技術の「Furinkazan Object」なら、同技術開発前まで世界最速最軽量とされていたモデルに比べて、実効速度10倍以上、メモリ消費1/5以下を実現したうえ、精度も大幅に向上しています。

「そして、新価値創造展2019に出展した『Furinkazan Pose』は、精度、小型、速度といった面で世界トップレベルの骨格検出・姿勢推定技術を誇ります。単純な顔認証であればエッジデバイスで利用できるものも多数登場してきましたが、骨格検出や複雑な画像検出までできるのは、少なくとも国内ではほかにないと思います」

同技術は、2万円以下で購入できる組み込みコンピュータで実現可能。不法侵入の監視やアスリートのフォームチェック、転倒の検知など、さまざまなシーンでの活躍が期待されています。

高精度の骨格検出・姿勢推定を可能にする「Furinkazan Pose」

その場にあるあらゆるものをタッチパネル化する技術も

新価値創造展では、「Furinkazan Pose」と共に出展された技術、あらゆるものをタッチパネルに変える「Yoichi」にも注目が集まりました。

「タブレット端末やデジタルサイネージなど、私たちの周りにはタッチパネルがあふれていますが、それらの端末を用意するには少なからずコストがかかります。そこで、その場にあるものをタッチパネルに変えられる技術を開発しました」

同技術は、カメラと独自の計算ソフトを組み込んだパソコンなどで構成。カメラの視界の中での指あるいはレーザーポインタの動きをパソコンが読み取り、その動きに合った動作を設定することができます。

「例えば建物全体がIoT化されたスマートビルディングには、制御用の電子パネルが多く使われますが、当然、機能面や設置場所、デザイン等に制約があります。『Yoichi』の技術を用いれば、これらをすべて必要な形あるいは自分好みにカスタマイズできるわけです」

同社はこの技術をスマートスピーカーやジェスチャー認識などに代わる新たなユーザーインターフェース(UI)技術と考えています。

「スマートスピーカーは雑音によって正確に動作しない可能性があり、ジェスチャー認識にはプライバシーの問題があります。さらにこの2つのUI技術には、設定できる命令と動作の種類がまだまだ少ないという課題もあります。『Yoichi』はこれらの課題を解消し、コンピューターと人間の自由で自然なコミュニケーションを実現できます」

これらの技術開発の根底にあるのが、「誰でも簡単に自分のために使えるAI技術を作る」という同社の目標です。第2回では、同社がこの目標達成に欠かせないと考えるパートナー企業についての話を掘り下げていきます。


連載「パートナー企業と一緒に新たなソリューションを構築したい」

第一回 身近なエッジデバイスで高度なAI技術の利用を可能にする
第二回 パートナー企業と一緒に新たなソリューションを構築したい

 


企業情報

株式会社tiwaki

滋賀県草津市の立命館大学びわ湖キャンパスにあるインキュベータ施設で2016年に創業。機械学習・画像認識領域における自社技術のライセンス販売や、コンサルティング、受託開発などを展開。「Furinkazan」「Yoichi」のほかにも、学習を必要としない画像認識技術「Onmyoji」、水中の課題解決を目的としたプラットフォーム「Wadatsumi」なども開発。

取材日:2020年11月19日

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