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脳の行動適応性を数値化。トレーニングも可能なシステム「SPEXA(スピーザ)」株式会社GFS

2018.11.27

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「SPEXA」ゴーグルのように頭にかぶり使用する。写真は正面から見たもの

学ぶべきポイント

  • 専門家とのコラボレーションでオリジナル製品を開発
  • ソフトウェア提供で培った技術を、他にないものづくりに応用
  • 高齢化社会に役立つ製品づくり

脳の行動適応性を数値化できるシステム「SPEXA(スピーザ)」は、ソフトウェアを扱う株式会社GFSが株式会社ブレインウェアとコラボレーションで誕生した。脳の行動適応性は、小脳のダメージや認知症などの診断に使われるが、今まで、検査の結果をデータで客観的に記録する方法がなく、医師が個人の判断で診断するしかなかった。これに対して「SPEXA」は、数値データを正確に記録し、医師の診断に役立てられるばかりでなく、繰り返しの使用で行動適応性のトレーニング効果が期待されている。

そもそも脳の行動適応性とは何か?
私たちが、歩く・泳ぐなどの移動や物を掴むといった腕や手の動きなどを、その環境・状況に応じて適切にスムーズにできることをいう。脳の疾患やダメージ、認知症などで小脳や小脳周辺の神経系統が損なわれると、行動適応性がなくなっていくということがわかっている。従来、行動適応性の診断は、医者が人指し指を出し、患者に目を開けた状態や閉じた状態で、その指に触らせるという検査を行ってきた。すぐに触れるか、ずれていた時の位置の差をどのように診断するかは、医師の主観による判断に任されているのが現状だった。

「SPEXA」開発のきっかけを中妻社長に伺った。同社は、ソフトウェアの開発提供を主な事業として取り組んできたが、2年ほど前に株式会社ブレインウェアの片野社長と知り合い、共同でヘルスケアの製品を開発することになったのだという。脳の働きを専門機関で研究してきた片野社長は、脳科学の理論に基づきヘルスケアの事業分野で活躍している。
今回の行動適応性も片野社長が研究で得たプリズムを使った検査が行動適応性を調べるのに有効だという原理を同社がシステムに落とし込んだものだ。

「SPEXA」はパソコンのタッチパネルに触ることで位置のずれを測定し、回数をデータとして数値化できるシステムだ。どのように使用するのか中妻社長に訊ねた。
「SPEXA」は被験者がパソコンのタッチパネルの前に座りパソコンにつながれたゴーグルをかぶる。ゴーグルの前面は上下に分かれ、上はクリアガラス、下はプリズムが入っている。ゴーグルの耳のところにスイッチがあり、そこを押しているうちはタッチパネルが見え、手を放すと見えなくなる仕組みだ。
試験を開始するとタッチパネル上に白い丸が出る。その白い丸を被験者に触れされるのだが、被験者がタッチパネルに触ろうとするとゴーグルのスイッチから手が離れるため、タッチパネルは見えなくなってしまう。そのため、被験者は記憶の中にある白い丸の位置を思い出しながらタッチパネルに触れることになる。はじめは、被験者はズレた位置を触ってしまうものの、繰り返すことで補正され正しい位置になっていく。これを白い丸の位置を変えて数回試していく。

次はゴーグルの下のプリズム(ここで使われているのは板状のもので左右方向に光が屈折するように設計)の入った面を使う。プリズムを通して見ると5センチほどのズレが出るように設定されており、以前の白い丸の位置を覚えている被験者は、最初はズレて触ってしまうが、やはり繰り返すことで徐々に修正機能が働く。このような形で5段階まで条件を変えて測定を行い、位置の補正、回数を繰り返したデータが数値として記録されていく仕組みだ。

「SPEXA」実際の使用写真。ゴーグル装着後タッチパネルに触れる

【動画】SPEXA使用の様子

「SPEXA」には、クラウド対応とそうでないものとの2種類のサービス形態がある。クラウド対応の場合、検査データをクラウドにアップすることができ、他の機関との情報共有が可能だ。
今後、大学病院や脳神経専門医院、東京都の公立の研究機関などにレンタル利用を進めていく予定だ。レンタルにするのは、さらに使い勝手が良くなるようにクライアントの意見も聴きながら改良を加えていくためだ。

「脳はいくつになっても機能を高めることができる、という研究結果がある。そのため、『SPEXA』も、繰り返しの使用で行動適応性向上のトレーニング効果が期待される。投薬に頼らず、機能回復を目指す。そんな製品を今後も継続的に株式会社ブレインウェアとコラボレーションしてつくっていきたい」と中妻社長は語る。すでにいくつかの構想が進行中とのこと。超高齢化社会にむけて事業の可能性はますます拡がっていく。
今後もさらに医療機関系研究機関、企業などとタッグを組めるような体制づくりを目指している。

取材日:2018年10月25日

 

企業情報

株式会社GFS

弊社は、創業以来自社製品・自社サービスを事業の柱にすべく日々努力をしております。会社の方針に共感した優秀な技術者が集まっており、ファームウェアからWEBシステム開発まで自社で一貫して提供できる体制を作っております。

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