BREAKTHROUGH連載インタビュー

「下請け」思考を捨てたときに起こる9つの劇的な変化田中 芳夫 <連載第2回(全4回)>

2017.09.14

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「下請け」思考を捨てたときに起こる9つの劇的な変化

オープンイノベーションは、自社開発にこだわりを強く持つ日本企業にとって、不得意とされてきました。しかし今、不得意をそのままにしておくのではなく、これを実践することで、企業は大きく変革できるチャンスだとも言えます。

モノづくりなどの強みを残しながら、社外の知見とうまく相乗効果を生み出していくような体質に変えていくことで、新たな日本の強みを作り上げていくことは、企業にとって十分に可能だと感じています。特に中小企業では、組織自体が複雑ではなく、それだけにオープンイノベーションを取り入れやすい環境だとも言えます。
また、モノづくりなどに秀でていながら、社会システムやサービスの変革を目指して、それをオープンな姿勢で成し遂げようとするような日本企業が登場してくれば、オープンイノベーションを実現できる相手として、世界各国から重宝されるでしょう。

より進化した『オープンイノベーション2.0』へ

当初のオープンイノベーションと、現在、盛んになりつつある「オープンイノベーション2.0」の大きな違いの1つは、企業と企業といった1対1の関係ではなく、さまざまな姿をした組織が、さまざまな関わり方をすることで、市場に新たな仕組みや社会システムを提供していく点にあります。

技術や知見の使い方も、当初のオープンイノベーションの「他者の技術を活用する」という傾向から、社会の大きな課題を解決していくために「あらゆる場所にある多数の技術を組み合わせる」といった方向に進みつつあります。

自分たちだけでは実現できない開発や製造を、他社に委託すること自体は構いませんが、事業の構造や仕組みづくりに何も関わることなく、決められた仕様とコスト、納期に従うことだけに慣れてしまうような「下請け的な発想」に染まってしまうことは危険です。

ですので、新価値創造展に出展される際には自社の説明だけに注力せず、
他の出展者や来場者の各企業をみながら、どこの技術と組み合わせることで、自社の技術が面白いことになるかという発想を持ち、積極的に接点を生み、共同で進める機会を創り出してみてください。

オープンイノベーションというのはいくつもある情報を、どうやって集めるかということで広がりを見せます。

その傾向として、いくつかのことがわかってきていますので下記で説明します。

オープンイノベーション2.0が起こす9つの変化

1)事業モデル:「大量生産型」→「価値創造型」

2)事業:「消費型」→「保存・維持型(Preservation)」

3)事業資源:「エネルギー・経営資源の集中型」→「知識集約型」

4)手法:「危険物・毒性のある物質に頼る手法」→「本質的な安全物質を使う手法」

5)事業スタイル:「直線型」から「循環型」

6)使う知見の核:「化学や物理」→「生物学や情報」

7)事業体に関わる面では、「独占型」→「オープン型」

8)このため、事業の主体は、従来の「特定の組織」→「生体圏(エコシステム)」

9)そして、提供するのは、従来の「製品」→「サービス」

要するに、一方通行的に技術や製品、サービスを開発して提供していくスタイルではなく、双方向的に入り乱れて新たな仕組みが構築されて、そこに必要な技術が生み出されていくことになるのです。

 

<連載第2回・完>

 

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院イノベーション研究科教授
青山学院大学大学院ビジネス法務客員教授
(独)産業技術総合研究所参与

1973年東京理科大学工学部電気工学科卒業。同年、住友重機械工業(株)に入社し、Online system設計などのシステム開発に従事。1980年に日本IBMの研究開発製造部門に入社。世界向けの製品・サービス・ソフトウエアの開発、マネージメント、および 副社長補佐。1998年にIBM Corporation R&D Aisi Pacific Technical Operation担当。2001年、研究開発部門 企画・事業開発担当理事。2005年、マイクロソフトCTO就任。2007年、(独)産業技術総合研究所参与、青山学院大学大学院ビジネス法務客員教授。 2009年、東京理科大学大学院教授。 現在、国際大学GLOCOM 上席客員研究員、日本工学アカデミー会員。

◇主な著書 
『MOT歴史の検証 (共著)』(丸善) 2008

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