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ダイキン工業の「レトロフィットシステム」~レトロフィットのススメ~施 鋒・池田 裕史<連載第1回(全2回)>

2018.07.19

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左から池田氏・施氏


いち早く「レトロフィット」に着目し、事業化させたダイキン工業サービス本部事業戦略担当課長の施 鋒(フェン・シー)氏、企画部営業企画グループの池田 裕史氏。平成28年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)で経済産業大臣賞を受賞した既設ビル用マルチエアコンシステム向け「レトロフィットシステム」について、お二人にお話を伺いました。
※部署・役職等は、取材当時のものです。


快適性、省エネ、低コストを実現

オフィスビルなどに設置するマルチエアコンは15~20年使われ、故障した場合の修理は行いますが、それ以上のメンテナンスをすることはありませんでした。また、マルチエアコンのリプレースは大掛かりな工事となり費用と工期が掛かりますので、古い性能の機器が耐用年数以上に使用され続けることが多く、省エネの観点でも問題がありました。

ダイキン工業が開発した「レトロフィットシステム」は、2016年の春からサービスを開始したもので、ビルに既に設置されたマルチエアコンの心臓部である圧縮機と、頭脳である制御基盤という主要部品を高性能品に入れ替えるだけで、故障リスクの低減、快適性の向上、そして年間約13~15%(※)の省エネを実現します。
※省エネ性は利用環境や気温の変動によって変動する場合があり、保証するものではありません。

 1.省エネ性の向上
   最新の省エネ冷媒制御基盤を搭載し、消費電力の大幅削減を実現。

 2.空調機の長寿命化を実現
   新型圧縮機と制御基盤の交換により、長寿命化を実現。

 3.快適性の向上
   最新の冷媒制御技術導入により、より早く快適温度に到達。
   到達後の室温変化も少なく、快適性の向上を実現。

ソフト・ハード技術を組み合わせて省エネを実現
導入物件による効果検証の結果、約19%の省エネの実現を確認
環境性やリサイクル率についても大きな効果を発揮

当社は、冷媒の開発、生産、空調機の設計、製造、販売、設置、メンテナンスまで、一貫して事業を展開していますが、これまでの空調機更新工事の際には、お客様から、更新コストや、工事期間中に空調を長期間止めなくてはいけない問題点を指摘されていました。
「レトロフィットシステム」は、圧縮機と制御基盤という主要部品の入れ替えで効果を発揮しますので、空調機の新規製品への入れ替えに比べ、お客様のコスト面の負担が少なくなり、空調停止による事業への影響も生じません。こうしてお客様の要望に丁寧にお応えして生まれたものです。
また、空調機市場で新製品が飽和状態になっていく中、突破口を開く手立てとして既設エアコンに目を向けてみることで、大きなビジネスチャンスが生まれました。「レトロフィットシステム」は、2018年春からイタリア、フランス、中東での販売も開始。当社が事業を展開する約150の国と地域にも積極的に展開したいと考えています。

これまで当社がこの分野で長年培ってきたハード・ソフト両面での豊富なノウハウや技術の蓄積だけでなく、気軽に自分の意見が言える自由な気風がある当社だからこそ、他メーカーに先駆けて「レトロフィット」に果敢に挑戦し、大きな成果を得ることができたのだと思います。

当社の社員には、創業以来の精神として「他社にはできないおもしろいことをやろう」という気概が溢れています。その「他社にできないおもしろいこと」が、既設エアコンの「レトロフィット」ですし、現在は、当社の強みになっています。しかし、事業化までには一筋縄ではいかないこともありました。

次回は、当社がどのように「レトロフィット」を事業化していったのか、どのように取り組んだかをご紹介いたします。

<連載第1回・完>


連載

第一回 ダイキン工業の「レトロフィットシステム」~レトロフィットのススメ~

第二回 レトロフィットへの取り組み ダイキン工業の事例に学ぶ~レトロフィットのススメ~


ダイキン工業株式会社

日本の大阪府に本社を置き、世界五大陸38ヶ国に拠点を持つ空調機、化学製品の世界的メーカー。「速さ」、「確かさ」、「親切さ」をモットーに全国を網羅するメーカーサービスの一貫体制で、ユーザーへワンストップサービスを提供。さらに保守、メンテナンス、省エネソリューション等様々なソリューションサービスも提供している。

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