BreakThrough 企業インタビュー

ナノレベルで混ぜ合わせるだけで新素材を生み出す
「高せん断加工技術」が産業を飛躍的に発展させる株式会社HSPテクノロジーズ

2018.03.07

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東芝機械との共同開発で実現した量産型となる「完全連続式高せん断加工機」

summary

  • 混ぜるだけで各々の良さを合わせ持つ新素材を開発
  • アイデア次第で素材の組み合わせは無限大
  • 分野を問わず、産業の成長に貢献

ナノレベルでの混合が新素材を生み出す

さまざまな産業において製品開発におけるコストダウンは重要視されている。「安く」「質の良い」素材をいち早く開発し、製品に取り入れることは急務な課題ともいえるだろう。

独立行政法人産業技術総合研究所で研究者として定年退職後に、技術移転ベンチャーとして株式会社HSPテクノロジーズを創業、代表取締役社長を務める清水博氏は、「高せん断成形加工技術」を用いて、各産業分野が抱える課題を解決に導く新素材の開発、製造、販売を行っている。

一口に新素材の開発といっても、まったくのゼロから新しい素材を開発するというわけではない。同社の「高せん断成形加工技術」は、すでに利用されている素材同士をナノレベルで均等に混ぜ合わせることで新素材を生み出すという技術だ。例えば樹脂材料であるポリカーボネートとポリメチルメタクリレートという素材同士を従来の成形加工技術で混ぜ合わせると、いずれも元は透明なのに白濁したものしか作り出せず、求める素材の良さを生かすことすら難しかった。しかし、同技術を用いると、ナノレベルで混合できるため、透明性を保ったまま、“両方の性質をもつ新しい素材”として生み出すことができる。

「混ぜるだけ」だからこそ組み合わせは無限大

素材の組み合わせは先に挙げた一例のほか、どちらも伸縮自在の電極用材料である「熱可塑性エラストマー」と「カーボンナノチューブ」の組み合わせでは、従来の素材において、電気伝導度の低さや伸縮性に課題があったが、同技術を用いて混ぜ合わせることで、両素材の良さを兼ね備え、さらに課題を克服した新素材を生み出すことに成功している。この新素材は金属代替として医療機器業界におけるウェアラブル端末用素材として注目を集めている。

このように、各素材の良さを混合するだけで引き出せる同技術は、「既存の素材を混ぜるだけ」というシンプルさで、新素材開発における時間とコストを大幅に短縮することができる。また、素材といってもその種類はさまざま。アイデア次第でその組み合わせは無数に存在するといっても過言ではない。

素材の大量生産を可能にした大型機の開発

同社が開発した新素材を製品として販売するためには、大量生産が必要となってくるが、同社創業時はまだ手動で小型のプロトタイプ装置しかなかった。「新素材開発の成功は、少量のサンプルだから成功しただけで、大量生産が可能かどうか疑わしいという声がありました。この技術の中で1番のターニングポイントは大量生産を可能にしたことです」と清水氏は振り返る。

同社創業から2年の歳月をかけ、東芝機械との共同開発によって、大型機となる「完全連続式高せん断加工機」をリリースした。それによって、「少量だから」という疑念を完全に払拭した。

成長著しい産業分野に積極参入

「新しい素材の開発に成功すると、海外企業は積極的にコンタクトをしてくる。その一方で、国内企業は2、30年使い続けてきた従来の素材を“我慢して使い続けている”現状がある」と清水氏。しかし、国内市場においても1社が新素材を採用しはじめると、素材市場は一気に動く可能性がある。

同社は現在、スマートフォン・タブレット向けパネルや、自動車用窓材、自動車用部品、タイヤ用材料、ロボット、ウェアラブル機器用素材など、市場が大きく広がる可能性の高い産業分野に対して積極的に参入。業界のニーズに新素材を通じて価値を提供し続け、ものづくり日本における産業全体の成長を押し上げることを課題に据えている。

素材の組み合わせは2つの素材の掛け合わせにかぎらず3つでも4つでも良い。同社の強みはアイデア(ニーズ)をすぐに素材として生み出せるという点だ。新製品と違い、新素材という言葉には日本よりも海外のほうが今は敏感に反応し、取り入れることに熱心のようではあるが、日本においても新素材の採用によるコストダウンの必要性はあるはず。また、軽量化、高強度化など様々な素材の持つ性質を組み合わせて、新たな代替素材が生まれれば、自動車やロボット、ロケットなどの産業において、さらなる大きな展開が見えてくる。

企業情報

株式会社HSPテクノロジーズ

弊社は世界に先駆けて開発した『高せん断成形加工技術』を用いて多様な新規ナノコンポジット材料を創製できます。特に、異種ポリマーを分子レベルで混合できるだけでなく、CNTや炭素繊維(CF)さらには各種ナノ粒子等のフィラーをポリマーにナノ分散させることができます。

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