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疲労の“見える化”を実現
データの収集が信頼性向上、日本の未来にリンクする株式会社疲労科学研究所

2018.01.15

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スマートフォンアプリと連携して、疲労度を簡易測定できる「簡易疲労・ストレス測定システム VM500」

学ぶべきポイント

  • 時代の流れに合わせた柔軟な開発力
  • 疲労がもたらす様々な影響を検証し続ける行動力

10kmのランニングをしたとしよう。ランニング後、「疲れた」と一言いってもそれは非常に主観的な言葉で、疲労の程度は人によって違いがある。血液を採取してホルモンバランスを見ることで疲労度を診断することは可能だが、保険適用外で高額な費用がかかること、そして診断結果が出るまでに時間がかることなど、疲労の客観的指標とするには不向きだった。

そんな主観の域をでることが難しい「疲労」に対して研究を重ね、疲労の定量化、数値化に成功したのが株式会社疲労科学研究所だ。

定量化、数値化するにあたって同社が目をつけたのが自律神経だった。ストレスを感じる、疲れが溜まるといった症状になると自律神経が交感神経優位となることに着目し、自律神経のバランスや活動量において性別・年代別のデータを収集。ビッグデータとして解析していき、疲労診断基準のベースとした。

シーンに応じて使える2タイプのデバイスを用意

同社が提供するデバイスには、解析ソフトをパソコンに搭載して利用するプログラムレンタル、販売タイプの「疲労・ストレス測定システム VM302」と、スマートフォンアプリと連携して利用する、課金ベースの「簡易疲労・ストレス測定システム VM500」の2タイプがある。これらのデバイスは、いずれも指を通じて自律神経を測定。解析エンジンが疲労度を算出する。「客観的に疲れている」、「見えないストレスを抱えている」などが、自律神経を通してわかる仕組みだ。

現在は医療機関や福祉施設などで多く採用されているが、スマートフォンが時流となっている現在、VM500はスマートフォンアプリを利用してオンラインサーバー経由で解析、結果を知ることができる。手軽さも手伝って、導入ハードルを下げることに成功している。

2017年より国による購入補助認定対象となったことをきっかけに、特に過労運転による事故の多発が問題視されている交通業界において、注目を集めている。今後導入に向けて、同社の単独だけでなく、他社の安全システムと連携する形での普及も目指している。

収集データから様々な仮説を検証、次へ繋がる

同社の取り組みは疲労の見える化にとどまらず、そこから様々な仮説を立て、検証を続けるフェーズへ移る段階となっており、2016年には神奈川県の健康支援活動の取り組みとして実証実験をスタートさせている。これまで20歳から70歳までの老若男女の自律神経データの収集に限られていたが、倫理委員会の了解を得たことでデータ収集の対象年齢の幅を広げることができた。それにより今後は、疲労・ストレスによる身体への影響や、病気の早期発見、対策につなげていきたいと同社社長の倉恒氏は語る。

現在は仮説の段階ながら「高齢者と認知症」、「子どものいじめ・自殺」といった様々な問題に対して、自律神経データからその予兆や傾向について解析、検証を続けている。これらの仮説と自律神経における関連性が明確になってくれば、日本が抱える多くの課題に対する解決の糸口となるだろう。

  • 疲労、ストレスを原因とする病気や事故、自殺は日本でも早急に解決すべき大きな課題。健康志向が強まる昨今でも、導入コストが高いとそれだけで難色を示されるケースが多い。同社のスマートフォンアプリ+デバイスという取り組みは、導入コストも安く、ハードルを下げることに成功している。
    また、交通や運送業界はもちろん、介護、教育など働き方に課題のある様々な業界との連携で、疲労の見える化から、働き方改革の一歩が導き出されるのではないだろうか。

企業情報

株式会社疲労科学研究所

疲労ストレスを中心とする先進的な健康予防医療研究を推進し、関連する各種疾病の早期検知技術を確立することで、健康の維持や長寿命社会の構築に貢献する

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