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産官学連携で社会課題の解決を目指す「サスティナブル・スマートタウン(SST)」とは山本 賢一郎(パナソニック株式会社 ビジネスソリューション本部 CRE事業推進部 部長)

<連載第1回(全4回)>

2021.02.16

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山本 賢一郎(パナソニック株式会社 ビジネスソリューション本部 CRE事業推進部 部長)


自社技術の別の活かし方を探す。他社との連携で新たな価値を創造する。保有リソースの価値を最大化する——。パナソニック株式会社では、ものづくり企業が発展する上で欠かせないこれらの要素を、多彩な分野の企業と連携した街づくりプロジェクト「サスティナブル・スマートタウン(SST)」を通じて実現しています。このSSTの概要やサービス開発事例、連携成功のポイントなどについて、プロジェクト責任者の山本賢一郎氏にお話を伺い、4回の連載シリーズで紹介します。


SSTは分野横断型スマートシティの先駆け

昨今、IoTやAIなどを活用しながら、地域の機能やサービスを高度化・効率化する「スマートシティ」の取り組みが広がっています。当初は「省エネ」「減災」など個別分野に特化したものが中心でしたが、やがて複数の分野を対象により広い視点から課題を解決するスマートシティが登場。その先駆けとなったのが、パナソニック株式会社が自社の工場跡地を活用して推進している「サスティナブル・スマートタウン(SST)」です。

「SSTでは、幅広い分野の企業や行政、大学などが連携し、『ウェルネス』『エネルギー』『セキュリティ』『モビリティ』『コミュニティ』の5分野に焦点を当てたスマートサービスが提供されています。介護、物流、エネルギーなどにおける新技術・新サービスの開発・実証の舞台になっているのも特徴です」

提供=パナソニック株式会社

SSTでは「住民の暮らし」が街づくりの起点

2014年に街開きが行われた最初のSST「Fujisawa SST(以下、藤沢SST)」(神奈川県藤沢市)では、不動産開発、電機、教育・福祉、通信、物流、エネルギーなど、同社を含む幅広い分野の18団体と藤沢市などの連携により、「モノ」ではなく「人々の暮らし」を起点とした開発が進められてきました。

「一般的な街づくりはインフラ設計から始まります。しかしSSTでは、住民の方の『暮らし』を起点に理想のスマートライフのあり方を提案し、そのために必要な空間を設計した上で、実現手段としてのインフラを考えていきます」

藤沢SSTでは現在、東京ドームほぼ4個分にあたる約19haの敷地に商業施設、福祉・教育・健康のための複合施設、次世代物流施設、戸建て住宅561戸などが並び、2000人以上が居住。全住宅のスマートハウス化、カメラと照明が連動したセンサー付きLED街路灯などによる防犯システム、サービス付き高齢者住宅でのICT見守りサービス連携など、多彩な先進的取り組みが進められています。

具体的な課題解決モデルを開発・実証する場に

政府が設立した「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも、リアルとバーチャルを融合しながら経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0」を先行的に実現する舞台としてスマートシティを挙げています。パナソニックが初めての「街づくり」に挑戦した狙いもそこにあります。

「SSTは、新たな技術・サービスを取り入れながら、100年先も持続可能な街づくりを目指しています。SSTで生まれたニーズに対し、具体的な課題解決モデルを開発・実証しながら、環境保全、防災といった社会課題の解決に役立つ製品・サービスを生み出し続けていきたいですね」

さらに、同じ志を持つ企業や自治体といったパートナーと連携しながら、よりよい街づくりを目指すなかで、事業のフィールドを広げていきたいという狙いもあります。第2回では「人々の暮らし」を起点とした街づくりの方法や、企業連携によるサービス開発事例などについて紹介します。


連載 「サスティナブル・スマートタウン(SST)」を新たな価値創造の舞台に

第一回 産官学連携で社会課題の解決を目指す「サスティナブル・スマートタウン(SST)」とは
第二回 「暮らし」起点のSSTでは、企業連携による新サービスが続々誕生
第三回 「住民にどんな価値が提供できるか」という視点からの提案に期待
第四回 「サスティナブル・スマートタウン(SST)」を新たな価値創造の舞台に


山本 賢一郎(やまもと・けんいちろう)
パナソニック株式会社 ビジネスソリューション本部 CRE事業推進部 部長

1990年4月、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)入社。以来、社内で一貫してB to B事業分野を担当する。パナソニックシステムソリューションズ社首都圏本部や、本社の建設事業推進本部、設備事業推進本部などにおける多彩なチームをリーダーとして率いた後、2016年4月に本社ビジネスソリューション本部企画・開発担当総括に就任。2018年10月より、同本部CRE事業推進部部長およびFujisawa SST協議会代表幹事を務める。

取材日:2020年12月14日

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