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防振・防音、耐震固定などに効果を発揮する「ノンブレン」シリーズ。その効果は、700系新幹線で20年間の営業走行や、震度5強の揺れにも耐えて実証された株式会社枚方技研

2018.12.13

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様々な形状に発展した防振装置「ノンブレン」シリーズ

学ぶべきポイント

  • 新素材と独自の設計技術を生かした商品開発
  • クライアントの要望に、オーダーメイドで最大効果を引き出す対応力
  • 確実な実験データで保証し、災害時に実証された高品質

1972年に創業した株式会社枚方技研は、機械設計を中心に実績を重ねてきた。バブル崩壊が始まった1990年頃、同社は、機械設計以外に事業の柱がもう1つほしいと模索するなかで、防振効果の高いウレタンを開発したベンチャー企業と出会った。当時、同社には、精密機械やコンプレッサー、クリーンルームの空調機器などから起こる「振動を止められないか」といった要望が寄せられていたこともあり、先のウレタンを使って防振材の開発に着手したのだ。

ウレタンの1種である防振素材「ノンブレン」は、従来の防振ゴムの2~4倍の防振効果と、衝撃吸収性を併せ持つ。油や熱、薬品などの耐環境性や、捻じ曲げや引き裂きなどの衝撃にも強い。

防振装置は、防振素材であるウレタンの硬さや大きさだけではなく、これをどのような金具で設置するのか、どこに、いくつ配置するのかが重要なポイントとなる。
同社は、機械設計に関する高い技術力を活かして、振動を軽減したい機械やその環境から、設置金具の形状や配置を考えた。1993年に製品化された防振装置の第1号「丸形ノンブレン」は、機械の固定に使われているボルトの代わりに使い、機械からの振動を床面に伝わらないように絶縁する部品である。これは今も、大小様々な機械によく使われる。

丸型ノンブレン。金具の間に、緑色の防振素材ノンブレンが使われている

だが実際には、計算で求めた通りに防振装置を設置すれば完了、とはいかない。設置する機械ごとに何度もテストを重ねて、クライアントと一緒に最大限の効果を引き出していく。同社の強みは、ただ標準品を売るだけではなく、毎回、オーダーメイドで作り上げていく姿勢にある。そのため今も、防振装置の売り上げのうち、70%近くを特注品が占める。

ノンブレンに対する高評価が広まったのは、1996年に半導体製造装置に採用されたことがきっかけだった。その後、1999年から営業走行を始めた700系新幹線の床下防音・防振材として採用され、ノンブレンの効果はもちろん、同社の技術力、会社としての信用度も格段に上昇した。

同社は、新幹線に採用される際、70度の高温化で実験を行い、長期使用に耐えうるとデータを提出した。2018年は営業開始から20年だ。700系は今も、山陽新幹線で問題なく走行しており、高寿命が実証された。その後、JRには新トワイライトエクスプレス瑞風にも採用されている。

ノンブレンは当初、防振・防音を目的としたが、その後、様々な用途開発を行い、耐震固定として使われることが増えてきた。地震が起こったとき、大きな重量のある機械が動いてしまうと、人に危害を及ぼしたり、避難経路が断たれたりする危険性もある。一般的な耐震固定は、アンカーボルトで機械を固定するが、機械のレイアウトを変更することの多い工場では、ボルト固定ができない。

そこで同社は、ノンブレンをシート状にした「ノンブレンシート」を改良し、粘着性を高めた「タックゲル」を開発した。タックゲルを設置した製薬工場では、2011年の東日本大震災で震度5強の揺れに耐え、機械は1台も動かなかったという。
また、タックゲルは墓石メーカーにも採用された。2016年の熊本地震では、他メーカーの墓石が倒れるなか、タックゲル使用の墓石は1基も倒れなかった。ノンブレンを担当する同社の前田常務は「弊社は過酷な条件で実験し、自信を持って商品を出荷しています。とはいえ、現実の大地震に耐えたという報告は、とてもうれしく、さらに大きな自信につながりました」

現在、同社は防振装置に関する特許を6件保有する。用途開発も進めていて、塗料状の「ノンブレンコート」は、船のスクリューや、モーターの外壁などに塗ると、防音効果が高い。
家庭や職場などのパソコンなどを固定するブロック状の「ビタブロック」や、かわいいナマズの形をした「ビタッピー」などもある。2019年には、用途を広げる発展型の新製品を発表する予定だ。

ビタッピー。固定したいものを挟み込むように設置し、ねじるとはずれるので移動も簡単

今後は、現在対応可能な20㎐より、もっと低周波のゆっくりとした揺れに対応できる防振材の開発を目指している。前田常務は、「ノンブレンをもっと進化させて、静かな社会を作るお手伝いをしていきたい」と語ってくれた。

取材日:2018年10月31日

 

企業情報

株式会社枚方技研

創業以来機械設計を業として45年、現在でも売上げの約50%を占める。1993年防振・衝撃緩衝が優れたウレタンを開発、「ノンブレン」と名付け蓄積された機械設計のノウハウと組み合わせ年間約500件に及ぶ客先からの要望に防振材・衝撃緩衝材・耐震固定材として形にし他者がマネのしにくい商品を作り行なっている。

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