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今までにない形状で水上の揺れにくさを追求。「消波機能」を高めたTOP FLOAT(浮桟橋)株式会社トシプラ

2018.12.06

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『TOP FLOAT』。従来の浮桟橋(フロート)とは全く異なる形状をしている

学ぶべきポイント

  • 経験値とアイデアでニッチな世界を切り開く
  • 使う人の立場で使い勝手の良い製品をつくる
  • 製品のデザインから最終製品までトータルなものづくりに対応

浮桟橋(フロート、以下フロートと表記)とは、いかだや浮輪のこと。連結し水上に浮かせて、足場や水上レジャー、水上発電の架台等に使用される。

株式会社トシプラは創業から30年、プラスチック加工のブロー成型を扱う会社だ。デザインから金型、製品化まで一貫して行う。ブロー成型を簡単に説明すると、熱により柔らかくした樹脂をパイプ状(パリソンという)に押し出し、樹脂が柔らかいうちにパリソン内に圧縮エアーを吹き込み、樹脂を金型に押し当て冷却固化させ成型するもの。同社はデザインから製品化まで対応できる強みを活かし、2016年に旧社名(株式会社利川プラスチック)から、現社名へと変更。自社オリジナル製品をつくるメーカーとなるべく舵をきった。自社製品の1つが「消波機能」を高めたフロート『TOP FLOAT(トップ フロート)』だ。

従来から使われているフロートは、立方体で水上に浮くために中空構造になっている。中空構造は軽いが、波のある場所ではどうしても影響されやすく揺れが生じる。重量を重くすれば揺れも収まるが、浮くための軽量さと揺れないための重量という相反する目的をどのように解消することができるかがフロートの価値ということになる。海外の製品の中には使用時、フロートに水をいれて重量を調整するものもある。

『TOP FLOAT』開発の経緯について同社の利川開発長に伺った。
きっかけは同社が15年ほどフロートをつくってきた中で、使用者の「揺れ」に対する意見を耳にすることが多かったことに加え、社長自身のものづくりへのチャレンジ精神だったという。従来の形状にこだわらなければ揺れを改善できるのではないかと5年前から研究、試作を重ね完成した。
従来品の立方体からはかけ離れた形状、浮くための軽量さと安定のための重量のバランスをどのように実現したかを聞くと、開発の第一歩は、作業者の使い勝手を考えたこと。
いかに簡単に現地ですぐに組み立てから始められるか、作業工程が少なくて済むものにしたいという思いから始まったと語る。

最大の改善ポイントは揺れを抑えることだ。揺れは大型になれば軽減することは可能だが、大型の開発にはコストがかかるため、形状に工夫を加えた。外見は螺旋形状、風抜きの穴を設置、そして船から着想を得て、フィンスタビライザー(揺れ防止装置)の働きを持たせた。螺旋形状は波を受ける表面積を最大限に大きくすることで消波効果を高め、風抜き穴は、風の通り道になるためフロートが受ける風の影響を少なくできる。
また、製品そのものの重量も増やしている。軽量さと重量のバランスについては、発泡材料を詰めることで調整した。この製品は国内の特許第5970084号、中国でも特許を取得している。
『TOP FLOAT』のサイズは1メートル。大きさは連結して調整することが可能だ。

TOP FLOATを連結して使用したイメージ

今までなかった螺旋形状について利川開発長は、「うちはローテク。人の力でチャレンジするんですよ。大手とは逆の発想、今の時代からは逆行しているかもしれないけど、目的の製品をつくるためにどうするかが先。固定概念にしばられないでフレキシブルに対応してみることで、新たな製品ができるんです」とモノづくりに込める思いを語った。

『TOP FLOAT』は上に載せる構造物によって、そのシステムを変化させることができるように作られている。水上太陽光発電であれば、直接架台を設置して太陽光パネルを載せられるので、太陽光の水面反射も利用した両面ガラスパネルを採用することが可能。足場として板を載せれば簡単に足場として利用できる。これまでのフロートに比べ、使い方を柔軟に変化できるところも強みだ。

利川開発長は「今後は、利用者に合わせて改良を加えると同時に、2メートルサイズの製品にしたいと考えています。サイズが大きくなれば使用個数も減るためコストダウンにつながりますから。そのための設備投資が一番の課題ですね」とあくまでも利用者視点の発想だ。

同社は、常に作業者の目線で商品をつくること、現場視点のものづくりを行ってきた。壊れないこと、使い方が分りやすいこと、を大切にしている。現に取引先の古河電工には15年に渡り自社特許製品が使われている。
そして今後は、さらにメーカーとしてチャレンジ精神と技術力を発揮し、中小企業だからできるニッチで便利な製品づくりを進めていく予定だ。

取材日:2018年10月29日

 

企業情報

株式会社トシプラ

当社は、現場が必要とする製品の開発力と、長年培ってきた技術力を武器に、金型加工から量産までを自社内で一貫して行う。製造業で、金型加工も行える企業は少なく、顧客とスピーディーに製品開発のやり取りができることが大きな強みである。また、特許取得へ惜しむことのない投資を行い、技術の見える化に取り組んでいる、

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