BREAKTHROUGH発想を学ぶ

「Connected Industries」とは何か?徳増 伸二<連載第1回(全4回)>

2018.04.24

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次世代の新価値創造のキー・コンセプトである「Connected Industries」

昨年(2017年)3月に開催されたドイツ情報通信見本市(CeBIT)に、安倍総理や世耕経済産業大臣のほか、日本企業118社が出展した際に、我が国の目指す産業の在り方として掲げたのが「Connected Industries」です。「Connected Industries」とは、業種や企業、人、データ、機械などがつながることにより新たな付加価値が創出される産業社会のこと。例えば、下記のようなつながりにより付加価値が生まれることが期待されます。

■ モノとモノがつながる(IoT)
■ 人と機械・システムが協働・共創する
■ 人と技術がつながり、人の知恵・創意を更に引き出す
■ 国境を越えて企業と企業がつながる
■ 世代を超えて人と人がつながり、技能や知恵を継承する
■ 生産者と消費者がつながり、ものづくりだけでなく社会課題の解決を図る

これまで我が国の製造業は、高い「技術力」や高度な「現場力」を駆使して、競争力を高めてきました。しかし、デジタル化が急進展するなか、モノの提供だけでは価値創出が難しく、「顧客起点」で考えて顧客の課題に対してサービスやソリューションを提供していくこと、モノを活用した「機能の提供」や「経験の共有」が重要となっています。我が国は、こうした時代の変化に即応して、これまでとは異なる「ソリューション志向」の新たな産業構造を“つながる”ことの強化を通じて構築する必要があります。その際、これまで我が国の製造業が培ってきた、現場経験に基づく臨機応変な課題解決力や継続的なカイゼン活動などを生かす視点も重要です。今後、IoT、AIやロボットなどが製造業で大いに活用されると見込まれますが、これらは基本的にはツールであり、人がこれらツールを使いこなすことが重要です。“人間本位”の産業社会が目指す方向性です。

「Connected Industries」は、下記の3つのコンセプトから成ります。
1)人と機械・システムが対立するのではなく、協調する新しいデジタル社会の実現
2)協力と協働を通じた課題解決
3)人間中心の考えを貫き、デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進

AIもロボットも課題解決のツールに過ぎません。決して恐れたり、敵視するのではなく、人を助け、人の力を引き出すために活用すべきです。地域や世界、地球の未来に現れる課題は、どれも複雑で解決が難しいものになってきています。それら困難な課題は、企業間、産業間、そして国と国がつながりあうことによって、初めて解決につながります。そのためには、これまでと違った産業構造の枠組みのなかで、協力と協働を推進していく必要があります。

技術の進展を活用して、様々なつながりにより価値創出が行われる産業社会に

社会は、これまで狩猟社会から農耕社会、工業社会、情報社会へと変化してきました。こうしたなか、経済発展と社会的課題の解決の両立に向け、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した超スマート社会である「Society5.0」が今後目指すべき姿だと考えられます。この“社会の変化”である「Society5.0」が国として目指す最も大きなコンセプトです。他方で、現在、「第4次産業革命」が進展しており、大きな“技術の変化”も起きています。この「第4次産業革命」という大きな“技術の変化”を、目指すべき“社会の変化”である「Society 5.0」につなげる間に産業があり、その“産業の在り方の変化”として「Connected Industries」があると考えています。

従来、個々の産業ごとに発展してきたものが、様々なつながりにより新たな付加価値が創出される産業社会が目指す姿だと思います。また、従来は独立または対立関係にあったものが融合し、変化することで、新たなビジネスモデルが誕生する時代になってきています。具体的には、「モノ×モノ」「人間×機械・システム」「人間×人間(知識や技能の継承)」「生産×消費」など様々なつながりが考えられ、そうしたつながりによって価値創出が行われる産業の姿を「Connected Industries」というコンセプトで表しています。

次回は、我が国の製造業の現状とその課題について解説します。

<連載第1回・完>


徳増 伸二(とくます・しんじ)
経済産業省 製造産業局 参事官(デジタル化・産業システム担当)(併)ものづくり政策審議室長

1994年経済産業省入省後、米国留学等を経て、大学連携推進課、研究開発課、NEDO出向、産技国際室長、産総研室長など、主に産業技術関連の部署を数多く経験。2016年7月に製造産業局参事官(デジタル化・産業システム担当)・(併)ものづくり政策審議室長に着任。
早大理工卒・同大学院修士、ハーバード大ケネディスクール行政修士、MITスローンスクール経営修士、東工大大学院社会理工博士、博士(学術)

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