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歩行困難者の二足歩行をサポートする画期的な装具を開発株式会社UCHIDA

2020.12.08

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CFRPの特徴を生かし、耐久性や重量、デザイン性といった従来の課題を解消

製品名=CFRPを用いた二足歩行アシスト装具「C-FREX」

耐久性・重量・デザイン性といった従来の装具の課題を解消

手足などが動かしづらくなる運動麻痺に悩まされている脊髄損傷者は少なくない。麻痺した箇所を長い間動かさないままでいると、筋肉が萎縮したり、生活習慣病を誘発したりと、別の問題を引き起こすリスクも高まる。そこで麻痺した部分の運動をサポートする装具を装着した上でのリハビリが重要になるが、従来の装具には耐久性や重さ、動作効率の悪さ、デザイン性などに多くの課題を抱えていた。

株式会社UCHIDAが開発を進める二足歩行アシスト装具「C-FREX」は、従来品の重さの原因だった金属を、炭素繊維と樹脂の複合素材である「CFRP※」に代えることで、高い耐久性と軽量化を両立。運動効率の大幅な向上と、装着時の労力緩和などを実現する。また二重振り子の原理を応用し、無動力での膝関節動作を実現。麻痺した下肢筋が膝関節の動作に応じることによるリハビリ効果も期待できる。無動力のため当然コスト面でも優位性が高く、かつデザイン性にもこだわるなど、従来品の課題を一つ一つクリアした製品となっている。
※Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略。「炭素繊維強化プラスチック」と訳され、プラスチック樹脂と炭素繊維を組み合わせることで、強度や耐久力を強化した複合素材

あらゆる業界が注目するCFRPを装具に活用

同製品の強みを体現しているのは、素材として使われているCFRPだ。鉄の4分の1の重量で10倍の強度を実現するというこの素材は、繊維の方向を変えることで自由な設計が可能になるという金属とは異なる特徴も併せ持ち、航空宇宙分野をはじめ、自動車、エネルギー、医療など、今日の社会を支えるあらゆる分野から注目を集めている。

この複合素材の成形技術を強みとする同社に、2014年に国立障害者リハビリテーションセンター研究所より同製品の共同研究の声がかかり、両組織の連携で研究開発が進められてきた。当初は部品一つを作るのに2週間以上かかるなど思うように開発が進まなかったが、2018年に3Dプリンタを導入したことで開発スピードが向上。被験者からのフィードバックや国内外の展示会での反響などを基にプロトタイプの試作を重ね、2021年の実用化に向けて準備を進めている。実際に同製品を装着した被験者からは「地面を蹴る感覚がある」「装着すると安定感・安心感がある」「デザインがいい」などの声が寄せられているという。

歩行に困っている世界中の人に希望を

同社が見据えているのは、リハビリ時の装着にとどまらず、多くの歩行困難者の普段の生活を継続的に支えること。そのために現在小児用も開発中で、将来的には装着時のわずらわしさもなく、リハビリを行う現場に移動したらそのまま立ち上がってすぐに歩行ができる「車椅子一体型モデル」の開発も検討中だ。

現在、脊椎損傷者は日本国内に10万人以上、米国に30万人以上いるとされる。世界中の歩行に困っている人に希望を与える同製品。同社との連携を模索する場合、製品の活用方法や活用シーン、展開する領域、発展可能性など、リリースを待っている間にもできることは少なくなさそうだ。

取材日:2020年10月30日

企業情報

株式会社UCHIDA

1968年設立。「複合材料の成形技術で世界に貢献を」を合言葉とし、特に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の成形技術を強みとする試作会社。車・バイクなどの自動車産業、旅客機やロケットなどの宇宙航空分野、そして、二足歩行アシスト装具に代表される医療福祉分野などにおける強度と軽量化の両立に貢献。

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