隠れていた需要、製品を必要とする相手がどこにあるか
来場者からの助言により新たな価値を見出した。
高速3次元運動を起こすことで、容器内の物体をマイクロ・ナノ単位まで“粉砕すること”を目的に開発された株式会社ナガオシステムの「3次元ボールミル」。2次元運動では不可能とされていた均一的な粉砕を可能とした製品だ。
しかし、新価値創造展への「3次元ボールミル」の出展は、粉砕一辺倒で考えていた同社にとって「比重や粘度の異なる物質の混合を可能にする機器」として想像すらしなかった新たな価値を見出す結果になったという。過去に2度出展した経験を持つ同社の専務取締役である長尾大輔氏に新価値創造展へ出展する意義をうかがった。
新価値創造展への出展理由を教えてください。
様々な分野のお客さまに実際に商品を見ていただき、その感想や、新たな用途の開発を狙って出展しました
出展した結果、貴社にとって良かった点は?
弊社が想像していた使い方とは異なる使い方の分野を見つけることができ、(製品の)使用の用途や販路が広がりました。
「想像と異なる」とは具体的にどのように違っていたのでしょうか?
弊社の3次元ボールミルは粉砕装置として開発し、出展しましたが、来場されたお客さまから「この3次元の高速回転は粉砕よりもむしろ、混合と分散に非常に適合するのではないか」というご意見を得ました。
化成品、医療品、化粧品など、粉砕よりもむしろ混合において強い力を発揮するのではないかと詳細なアドバイスも得られ、その用途を探りました。
取引相手となる分野の幅が広がったということでしょうか。
混合分野に大きな利用価値があることを知り、弊社は無機材料を主として電気、セラミック、熱電や金の分野にターゲットを絞っていました。ところが、新価値創造展に様々なお客さまが来場され、科学、医療品、化粧品、ペイントメーカー様などからご指摘を得られたことで、粉砕、無機材料の混合の他にも(3次元ボールミルが)使える分野があるということに気付くことができ、これまでターゲットとして考えていなかった有機材料混合という分野にも販路がどんどん広がってきました。
新価値創造展は商談の場としてもメリットを感じられましたか?
弊社は物を作る専門の製造業です。物を作ることに関してはプロフェッショナルですが、販路開拓、お客さまに物を届けるということは非常に苦手でした。新価値創造展への出展は、実際に製品を導入されるお客さまとの販売チャネルを持つ商社さまと数多く知り合うことができ、普段なら関わることのないルートとの接点を持つことができたのが最大のメリットでした。
どのような企業から注目を集めることができましたか?
無機材料を扱うお客さまを中心に販売活動を行っていましたが、出展後は有機物にも利用価値があることがわかり、有機物関連、化成品といった分野にも注目いただき、大きな評価もいただくことができました。
新価値創造展への出展でどんな手応えを感じましたか?
東京ビッグサイトという大きな会場にバイヤーさま、商社さま、研究所のかた、企業のR&D(研究開発)のかたなど、様々なお客さまが日本全国、そして海外から来場されます。今までとはまったく異なる分野のお客さまとの関わりが多く、教えていただくことが多々ありました。様々な角度から弊社製品の良さをアピールすることができました。
来場者に対してどのように製品をアピールされましたか?
例えば企業のR&Dのかたに販売する場合、大学さまに販売する場合、商社さまに販売する場合でそれぞれアピールするポイントが違います。それぞれのケースに応じた資料を用意することで、商談へ移った際に、短い時間内でもお互いに意思疎通を図ることができました。
新価値創造展ではどのようなサポートを受けられましたか?
新価値創造展出展の際に製品紹介動画を制作していただき、お客さまに見せることができました。弊社の製品はその特性上どうしても言葉では伝えきれない面がありますが、制作いただいた動画によって各方面のお客さまに事前に理解していただくことができました。またそれによって、知名度や信頼度もアップしたと考えています。
1回目の出展と2回目の出展ではどのように違いましたか?
1回目は正直準備不足という面がありましたが、2回目の出展では、1回目の経験をもとに来場者に応じた資料を準備できたこともあり、対応への余裕ができました。2回目となると社名は覚えられずとも製品は記憶に残っていることもあり、お客さまと会話するきっかけをつかめます
今年の新価値創造展2017への出展で3回目となりますが、今回は興味を持っていただけたお客さまに対し、興味だけで終わらずその用途まで上手く掘り下げていければと思っています。
-comment-
当初は粉砕用マシンとして開発された「3次元ボールミル」だが、新価値創造展への出展は“素材の混合”というまさに新しい価値に気付くきっかけとなった。「3次元ボールミル」は、羽やカッターでの混合で起きてしまっていた、熱変化、大きさや混ざり具合の不均等さ、低品質さといった不都合な課題すら解決できるものだった。その結果、ターゲットとなる分野の拡大に繋がったのだ。
長尾氏が語ったように、自社も知り得なかった製品に対する新しい価値は、様々な業種が集まる新価値創造展だからこそ発見できる可能性も高い。
公開日:2017年11月10日
企業情報
株式会社ナガオシステム
縦横が直交する回転体で新たな3次元運動を起こします。ナノ乾式粉砕、有機+無機の超低発熱混合が可能、ナノ凝集粒子の分散を可能にします。3次元運動は超低発熱、超消費電力、超高均質。
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