BreakThrough 成功事例

自分たちが属するフィールド外のニーズを知る
新価値創造展は自社に新しい価値をも生み出してくれた 株式会社松岡カッター製作所

2018.04.06

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ニーズはこれしかないだろうという決めつけは大きな機会損失。
異業種が集まる新価値創造展はまさにヒントの山だった

1935年創業の株式会社松岡カッター製作所はこれまで、同社が所在する静岡県にて木工業界など地場産業を取引先として刃物を製造、販売してきた。しかし、創業から82年が経つ今、時代の変化にともなうニーズの変化を感じている。次の時代に向けて新たな事業の柱を模索してはいるものの、決め手に欠くという状態が続いていた。
そんな同社だったが新価値創造展への出展を機に、「自分たちに新しい価値が生まれる」ことを実感したという。同社が気付いた“新しい価値”とはどんなものだったのか。同社代表取締役社長の松岡克彦氏に話をうかがった


ニーズを知り、価値を確認することが
異業種参入挑戦へのきっかけとなる
なぜ新価値創造展に出展しようと思われたのですか?

自分たちの会社が所属している業界カテゴリーとは異なる業界において、同業界とは違う形で新しいニーズがあるのではないかと考え、それを探りたいと思ったことが1番大きな要因です。そうはいってもどんな業界にターゲットを絞っていいのか、闇雲に展示会と名のつくものに出展しても、わかるものではありません。なので、総合展である新価値創造展は、「今までとは違ったものを得るチャンスだ」と思ったことがきっかけですね。

実際に出展する際に意識したことはなんですか?
弊社は過去に2度、新価値創造展に出展させていただきましたが、1度目はともかく出てみよう、他流試合を経験してみようと思っての行動でした。ですが、2度目の出展では、自分たちのコアビジネスとは何か?という点を意識して出展しました。

出展した結果、貴社にとって得られたものはどんなものでしたか?
普通に営業していれば交わることがなかったであろう大手企業とも、研究に直接関われるような、そのようなニーズに触れることができたというのは非常に大きかったと思います。
また、我々が提供する製品そのものに、自分たちが「こうだろう」と決めていたカテゴリー以外において、別のシーズ(きっかけ)、可能性が見えてきました。自分たちの製品が別の市場でも使えるんじゃないかという確認ができました。

「自分たちが決めていたカテゴリー以外の」とはどういうことでしょうか
我々はお客さまからオーダーを受けてからモノを作ります。ズバリ、お客さまのニーズそのものがそのまま商品になっていただけでした。だからこそ“それしかないだろう”と思っていた部分があります。
我々は仕事の中でこれまで約2万種ほどの製品を生み出してきました。その中にはオーバーラップするような技術もありますが、それらを組み合わせたり、ちょっと外してみると、まったく違う業種の中で使えるんだなということを、気付かされたように思います。
お客さまのほうから「これだったらこういうことができるんじゃない?」という形でヒントを投げかけていただく。その問いかけの中には「え?」と驚くほど私たちが気付いていなかったことがとても多くありました。

得られたヒントはどのように活かされていますか?
弊社は創業からずっと静岡で木工業といった地場産業において、木工に関する刃物や制作工具を中心にしていましたが、自動車や金属関係において難削材といわれるような「削りにくいもの」「加工しにくいもの」における工具制作の仕事を得ることができるようになりました。今後、それらの仕事における比重は高くなってくると思います。そのために工具の新しい開発にも力を入れています。
また、私たちが新たな業界に参入することで、既存の取引先にも弊社製品の新たな“使い方”を知っていただけたとも思っています。

“新たな使い方”とは?
異業種の分野に進出できるということです。これはつまり、弊社の工具を扱っていただいている、販売していただいている代理店様方は、弊社の刃物のことを1番良く知っていただけている方々です。弊社の刃物を売ることのできる力をお持ちの方々ですので、そういった方々がこれまでは無関係だと思われていた業界・業種のお客さまに対してアプローチしていただくこともできており、異業種に参入したというお客さまも多くおられます。

今後、貴社はどのように事業展開されたいと考えていらっしゃいますか?
弊社の得意分野である切削工具をこれからもどんどんブラッシュアップして磨き上げていき、いわゆる難削材といわれる分野において、特に航空・自動車産業といった分野に対する切削工具に力を入れていきたいと思っています。なおかつ医療分野など、そのほかの分野にも進出できる機会をモノにするために、しっかりと見据えてチャレンジしていきたいと思っています。

-comment-
新価値創造展はその名の通り、出展者と来場者、出展者同士の繋がりから新たな価値が生まれることが多く、これまでにも新たな価値ある製品、サービスが多く生み出されてきた。“新しい何かが生まれる”という点に着目しがちだが、同社のように“自社の新しい価値”に気付けるかどうかも重要なポイントになるだろう。松岡氏は、このような気付きが得られることこそ異業種が集う新価値創造展ならではの魅力だと語っていた。

公開日:2018年4月6日

企業情報

株式会社松岡カッター製作所

当社の強みは高品質・短納期・多品種小ロットへの対応力である。顧客のニーズに対応したフレキシブルな一貫生産システムを構築し、木質系・無機質系・樹脂・金属系素材から、炭素繊維等の新素材まで多様化・高度化へと加速する素材と機械に対し最適な切削工具・刃物を開発・提供している。

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