BreakThrough 成功事例

確実にニーズがある製品だからこそ
新価値創造展で認知の効率化を 平野整機工業株式会社

2018.04.12

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「社名よりも『砕き太郎』という製品名を覚えてほしい」と話す平野社長


見た目は驚くほど単純だが、粗砕の威力は抜群。そんな目から鱗の製品、粗砕機『砕き太郎』は、製造メーカーの生産設備に関わる設計・施工・メンテナンスを主な事業とする平野整機工業株式会社が、顧客の声から製品化したものだ。
製造業において各種の材料は、利便性を考えて粉末状にすることが多く、運搬・保管のために袋詰めされている。それらはしばしば、時間経過や保管時の圧縮等により、中身が固形化してしまう。家庭で袋のまま仕舞い込んでいた砂糖が固まって使えなくなった経験がある人も多いだろう。固形化した材料は使用の際に、使用できる大きさ、形状まで戻さなくてはいけない。『砕き太郎』は、そんな固結してしまった袋詰め原料などを、袋を破ることなく中身だけ軟化させることができる装置である。
同社代表の平野隆雄社長に話をうかがった。


『砕き太郎』はどのように開発に至ったのですか
実は、製造業の現場では固形化してしまった原料の“ほぐし作業”は必須の作業であり、これまで人力で対応するのが普通でした。人海戦術で、なおかつ、重い袋を持ち上げて下に叩きつけたり、重いハンマー等で割るといった重労働で行われているのです。工場設備のメンテナンスを行う中でこうした状況を目の当たりにしてきた我々が、何かできないかということで試作を重ね製作したのが『砕き太郎』です。
ほとんどのメーカーさんはシーズから製品作りをされています。持っている技術を売れる商品に変えていくというのがシーズの強みだと思うんです。しかし我々の場合は、やはり中小企業ということで、あまり経費も大きくかけることができません。そこで逆にニーズから掘り起こして製品作りを行ったというのが、『砕き太郎』です。

設備・ロボット用オーダ―メイド布カバー。機械を埃や汚れから守る、機械からの塵を外に出さないなど、さまざまなニーズに対応可能

新価値創造展への出展でニーズの幅は広がりましたか
機械化により人件費の削減というコストメリットが得られる上、重労働が改善されることで女性が作業することも可能になります。さらにユーザーからは「作業スピードが上がった」「作業環境が改善された」といった声も多く届いています。ニッチな製品だが、ニーズはある。新価値創造展など総合展に出展することで、認知度が上がるのに比例して引き合いも増えました。
当初は製造業における粉体や食品業界における粉体を想定しスタートしましたが、新価値創造展の出展をきっかけに口コミが広がり、様々な分野から声がかかるようになりました。食塩や砂糖類、乳製品、クエン酸といった食品類から、化学薬品の粉末結晶、医薬品、樹脂、ゴムペレット類など解砕実績は広がっています。その他、飼料・肥料の業界にも提供。飼料は、家畜の食べやすさを考えて黒砂糖を添加することがあるのですが、どうしても黒砂糖というは固まってしまう。それを出荷するときにほぐしたいという声があったんです。
さらに、解砕は粉末状のものに限りません。キャラメル、カカオ粉末、ビールのホップ、シャーベットにしたレモンの氷塊など、食品業界におけるニーズはまだまだ広がりを見せています。
まったく予想もしていなかった食品で言えば、みなさんがお酒を飲むときに食べられる“あて”のスルメ。スルメの材料は10キログラムくらいの箱で冷凍してあるのですが、塩などを添加した上でそれをほぐしていかないといけない。スルメを凍った状態でほぐしていくというニーズは、我々も想像もつかなかったですね。

地方企業として新価値創造展のメリットはどのようなところですか
私どもは大阪を拠点とする地方企業ですが新価値創造展の出展を考えたのは、まず開催場所が東京であり、商圏が広がるということです。さらに全国各地から来場者や出展者が集まるため、様々な新たな出会いや情報に期待ができると考えました。

新価値創造展への出展時の工夫はありますか
我々の製品はニッチなだけに、来場者すべての方に見ていただこうというところは目標にはしていません。不特定多数ではなく、出展までの1年の間にお問い合わせをいただいたお客様に興味を持っていただき、現物の機械をその場で見ていただく。ターゲットを絞って営業しているのが戦略です。興味を持っていただいたお客様方に、新価値創造展をご案内し、いかにそこでお会いできるかというのを考えています。
さらに、実際のお客様の声を聞いて製品開発にフィードバックすることも重視しています。わざわざお見えになるお客様というのは、それだけ困っているんですね。やはり、機械を改良、修正を加えて、お客様にそった機械に近づけていくことも、機械を提供する我々の使命でもあると思っています。

今後の展開はどのように考えていますか
同製品を導入していない現場では、今でも人力による粉砕作業が行われています。まだまだ需要の可能性はあると考え、『砕き太郎』の認知を広めるために今後も展示会への出展を検討していきます。
さらに、海外にも同製品のような目的の機械はないこともわかりました。ただ海外展開には、国際特許や国際意匠登録、売買契約など様々なハードルがあります。今はそれを一歩一歩クリアしている段階です。
新価値創造展には、海外からも多くの方が来場します。彼らのビジネスワークとのタイミング次第ですが、海外に展開する可能性への期待も大きいですね。

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-comment-
機能自体は単純な製品であるがゆえに、用途の幅が広がり続けている『砕き太郎』。総合展ならではの多種多様な業界の来場者からの意見やフィードバックをもとに、まだ自身が気づいていない分野への展開や、サイズや形状など対応の幅を広げたバリエーション開発を同社は進めている。

公開日:2018年4月12日

企業情報

平野整機工業株式会社

当社は、創業50余年の歴史を持ち、取引先とは20年以上のお付合いをさせて頂いています。品質、安全、納期をモットーに客先へ提案を行い、業務や作業環境の改善目を向けています。
当社の理念から零細企業ながら自社製品『砕き太郎シリーズ』を開発することが出来、累計輩出台数340台以上の成果を得ております

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