来場者とはもちろん、出展企業の皆様と積極的にコミュニケーションをとることが大事
製造業から農林水産業、医療関係まで、様々な業種のニーズに呼応した製品づくりに定評のある同社は、中国でも事業展開を行っている。新価値創造展への出展は、2017年の昨年が初めてだったが、さっそく中国・上海の企業からアプローチがあり、現在は市場展開の準備を進めているという。
同社代表取締役の橋爪賢治郎氏にお話を伺った。
バッテリー技術を核に多岐に渡る事業を展開
写真左:カバーとバッテリーダンパーによって強度を高めた農業用ドローンに搭載するバッテリー
写真右:電動リールと魚群探知機のための釣り用バッテリー
新価値創造展に出展したきっかけは?
弊社製品のデザインをしている方に教えていただきました。私共は月に一回は各地の展示会に出展していますが、東京での他の展示会に比べて新価値創造展は低コストで出展できるメリットがあります。また新価値創造展は「いわゆる“冷やかし”の方は来ない、本物の良いお客様が来る、プロが集まる場所」だと聞いていましたので出展を決めました。
出展してどんなメリットがありましたか?
ブースに来られた来場者の皆様との商談はもちろんですが、搬入時や開場前に出展企業の方々と直接お話する機会があり、出展企業の質が非常に高いことがわかりました。新価値創造展は色々な業種が集まる総合展示会ということもあり、様々な業種の皆様と情報交換できて、大変良い刺激になりました。
展示の際に工夫した点は?
弊社は業務領域が多岐に渡りますので、その中でもシンボリックなビジュアルを大きく正面に展示するよう心掛けました。昨年はドローンの写真を大きく貼り出しました。そうするとドローンに関心のあるお客様が足を止めてくれます。またパネルも業務ごとに何種類か用意しておりますので、例えば再生医療に興味を示したお客様には、再生医療のパネルをその場でズラッと並べます。ニーズに合わせてブースも固定化せずに柔軟に対応しております。多分、このような展示方法は弊社だけではないかと思います。

展示方法の他にも、こだわっている点などありますか?
名刺交換させていただいた皆様には、弊社の企業ポリシーが発揮できるノベルティを差し上げました。昨年のノベルティは電池の入ったオリジナル腕時計です。また展示会の当日の夜に御礼の葉書をお送りしました。メールは使わず、手書きで感謝の気持ちをお伝えできるよう心掛けています。
昨年出展したことで、ビジネスにつながったケースは?
上海で病院を運営している中国の企業様が、私どもがお手伝いしている再生医療の案件に関して興味を示してくれました。心臓を患った方が人工心臓にするには、細胞化を促す細胞シートが必要となります。この細胞シートは生体と同様ですから、厳密な温度管理で運ぶ専用の「細胞シート搬送ボックス」を使います。この開発・製造を弊社が行っています。中国で人工心臓の再生医療を広めるために、弊社が橋渡しとなるコンサルティングの役割を担い、中国の医療関係者に大阪大学の教授を紹介しました。人工心臓の再生医療のニーズが高まり、市場が獲得できれば細胞シート搬送ボックスが必要になりますし、現在、市場を検証しながら販売に向けての土台づくりを進めています。
今後はどのような展開を考えていますか?
現在、地球全体が異常気象に見舞われています。今後はそのような異常気象に対応するビジネスが伸びるであろうと予測しています。今年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の時もそうですが、農薬散布用ドローンを災害などの非常時にもっと活用できるのではと考えています。ドローンの有用性について広くお伝えしていくのも弊社の使命だと感じています。
-comment-
八洲電業株式会社の製造業務は本当に領域が広い。バッテリー技術を中心にしながらも、企業からのオーダーがあればどんな業種にも対応していくという、製品づくりへの真摯かつ柔軟な姿勢が橋爪社長の語り口から感じられた。取材当日も香港から成田に着いたその足で取材場所にお越しいただいた。社長自らのこのフットワークと時代の流れを鋭敏に読み取る感性が、同社の製品づくりの指針となっているようだ。
公開日:2018年9月11日
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