複数の被膜線を縄状に撚って構成されるリッツ線は、柔軟性や高周波数が求められる用途に使用されている
1956年より長野県上田の地で、主にリッツ線・編組線の製造からスタートした東特巻線株式会社。創業以来、各種コイル・ハーネス加工・電子機器の組立まで事業を拡大しながら、お客様と一体となって「ものづくり」を支え続けている。柔軟な設計開発力、試作から量産対応まで一貫した生産設備能力、長年の経験で培った独自の技術・経験をもとに、2017年からは新規分野参入に向けた新たな試みを積極的に行っている。
「編む・巻く・撚る」が専門の電線加工会社であることを広くピーアルするために始めたのが、展示会への出展だ。2017年は延べ6回、展示会に出展したようだが、新価値創造展は東京では初の出展となった。新価値創造展に出展したことで、社員のモチベーションもアップしたようだ。
詳しい内容を同社 代表取締役社長の本多豊氏と営業課課長の勝村司氏の両氏から伺った。
リッツ線を製造するための同社工場内
新価値創造展に出展したきっかけは
新規開拓をしていくために、まずどうやって企業様にアプローチしていけばいいか、ということを営業課内で色々と検討し、「展示会に出展することがきっかけになるのでは」という意見が出ました。展示会は、私どもの事業に興味のあるお客様が自らブースに来ていただける、というメリットがありますので、新規開拓にはベストだと考えたのです。
新価値創造展に関しては、「中小企業が持っている技術をアピールできる展示会」ということを以前から聞いていました。長野県上田市にある当社が、東京での新規獲得が望める可能性がありますので新価値創造展の出展を決めました。
新価値創造展に出展したことでどのようなメリットがありましたか
出展した際に「リッツ線が撚れて、それをコイルにすることができること」を、展示グッズを使用して紹介していました。それを見たお客様から非接触給電に関するお引き合いを受けました。今も継続して、試作等を製作しております。
また試作を含めまして、お引き合いも大分受けております。高い評価をいただきまして、引き続き継続して製品化に向けてのお手伝いをさせていただく予定です。
2017年の出展では、今までにない異業種の分野のお客様から、通常当社が使用している銅ではなく、アルミや繊維を使用して“撚る”技術を導入できないか、というお話をたくさんいただきました。
新価値創造展での来場者の反応はいかがでしたでしょうか
新価値創造展は本当に色々な業種の方々が出展されていて、様々なメーカーの方々が来場されていることを実感しました。当社のブースにも多くのメーカー様が来ていただいたので本当に良いきっかけとなりました。
当社とは今まで縁のなかったアクセサリー業界のお客様から当社の“撚る”技術に興味を持っていただき、様々な分野のお客様が来場しているのだと改めて感じました。
出展するうえで気をつけたことやコツなどはありますか
展示会出展に向けて、2017年から当社のロゴマークを銅線をイメージしたオレンジのデザインに変更しました。このオレンジのカラーが目を引いて効果的だったように感じます。来場者の方々がこのロゴを目印に立ち止まってくれたのでは、と思っております。
以前は緊張しながらブースに立っていたのですが、最近は出展にも慣れてきましたので、もう少し笑顔で来場者の皆様に積極的にお声掛けができれば、と思っています。私共もあまり畏まらずに、お客様には、その日に初めてお会いした、と感じさせないぐらい、リラックスした形でお客様とお話できるように心掛けていきます。
また、お会いしたお客様との出会いが大切ですので、その後のフォローにも力を入れて取り組んでいます。やはり展示会の場だけですと、お客様が本当に何を求めているのか感じとれない部分もございます。展示会での接点を活かして、当社から連絡を密に取らせていただいて本当に求められているものが何かを引き出すことも大事なのではと思います。
今後はどのような展開を考えていますか
当社の製品は、業種を問わずに様々な業種使われる部品を作っています。これからはロボット業界や医療関係にも進出できればと考えます。新価値創造展は他業種の分野のお客様と出会える重要な場ですので、これからもそういった機会を得ることができれば幸いです。
向かって右側から代表取締役社長の本多豊氏、営業課課長の勝村司氏
取材日:2018年10月31日
企業情報
東特巻線株式会社
主にマグネットワイヤーを使用したリッツ線・編組線、ワイヤレス給電用コイルなどの各種コイル、ハーネス加工、電子機器組立等試作開発から量産まで一貫した生産体制を確立しております。
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